ブックレビュー・「毛のない生活/山口ミルコ」

山口ミルコさんの「毛のない生活」を読んだ。

http://www.mishimasha.com/books/kenonai.htm
一言で言うならガンの闘病記。
「伝説の編集者」とまで呼ばれた敏腕スーパーOLを突如として襲ったガンとの戦い。
その中で変わってきた「食べること」「消費すること」「働くこと」などの意識や意味。
壮絶な実体験を元に実に説得力ある文章で語られています。
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実はこの人、ミュージシャンでもありぼくの先輩でもある人なんだ。
たまに助っ人でお世話になっていた母校のビッグバンドのな、かなり上の先輩になるのです。数年前にOBバンドで一緒に演奏もしたものです。
ベイシー至上主義のビッグバンドにあるまじき攻撃力の高そうなマウスピースにビンテージのアルトサックスがおれのとなりで吠えておられました。
いただいた名刺が、名前だけで会社名も役職もなにもない、ちょっと奇妙な名刺だったことを良く覚えています。
で、ああ、ちょうどこのころフリーになって、もしかしたら闘病生活に入られた前後だったのかな・・・、なんて想像します。
実はこの本を突然見つけて病気のことを知りました。
相当びっくりしてすぐ本屋に走り、その日のうちに一気読みしてしもうた。
重いテーマだけど読みやすく、さっくり読める感じ。
さすがプロの編集者。短く説得力のある文章で、イヤミがないし説教じみてない。押しつけっぽさもないです。
前述しましたが、単に闘病記でなく、それによって気づいた社会のいろいろ。生命のなんたるか。食のなんたるか。社会に属すること、企業などに属すること・・・。など、病気によっていろんな考え方の変化などが語られています。
大量生産、大量消費、経済効率優先の現代の諸問題について考えなおすヒントになると思います。
おれは、アメリカ人に読ませてやりたいぜ!と思ったよ。
これは同じ病気を持つ皆さんのみならず、どんな人にも響くものがあると思う。
オススメできます。

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