Stan Getz & The Oscar Peterson Trio



12/23/2007のMr. Oscar Petersonの急逝を受けて緊急レビュー。
(このレビューは2008年1月に書きました)
とくに多作なMrです。やっぱり大名作「We got Request」ははずせないなーと思ったのですが、ちょっと王道をはずしてこれを行ってみます。
オスカー、レイ・ブラウン、ハーブ・エリスの魔法のトリオにスタン・ゲッツがからんでさらにすごい魔法が起こっています。
これで悪いわけがないよねー。
油ギトギトの超個性的、超破壊力を持ったプレイヤーたちが一同に会し、猛烈にスイングしてます。
ぱっと聴いたら最高にゴキゲンなノリノリ音楽だけど、超絶バカテク、そしてすごい会話が起こってます。
なにしろ、オスピートリオだけでもすごいスイング、ドライブ感なのにこれをさらにゲッツがぐいぐい引っ張っちゃうんだもん。スピード違反ですよ。捕まえてください。
ゲッツが16部音符でシーケンスフレーズをバラバラッと繰り出すとガーっとスピード感があがる。(速くなってるわけじゃないよ。)
常々おもうけど、キレたゲッツはコルトレーンより怖いとおもいます。
一曲目のI want to be happyでいきなりひっくり返ってください。
このシンプルな進行の曲を題材にいきなりトップギアです。
オスピーのレギュラートリオと言うと、
1、ピアノ、ベース、ドラム
2、ピアノ、ベース、ギター
の二種類があります。今回は2のギターを含むトリオ。
そうです。ドラムがないんだよ。
だけど、ドラムの音が聴こえてくるから不思議なのだ。まさにオスピーマジック。
通常、ビッグバンドジャズなどで使われるギターによる4部音符のカッティング。
これがレイ・ブラウンのWalkingと絡み合ってもう最高にドライブするのです。
まず聴き所はここ。ギターの伴奏がバンドを強烈にドライブさせていること、そして多彩に合いの手を入れていること。
それによってガラリと味が変わることを気にしてみよう。
途中、#10ではコンガのマネをしたりもしています。
そしてやっぱりオスピーはすごい。
こんなに重厚なのになんでこんなにコロコロよく転がるんだろう?ガシガシ弾きまくって弾き倒してもうるさくないし、音の一つ一つがバシッと立って輝いてる。これってほんとにすごいことだよ。
ソロイストのバックで伴奏するときだって、並みのピアニストがこんなに弾きまくったらうるさいだろうなと思う。
そしてこのぶっとい和音の響き。
ぼくのある友人は「ビッグバンドを聴いてるようだ」と形容しましたけど、いやー、まさにその通り。実に的確に言い当ててると思いました。
どんなピアニストが同じように弾いたってあの重厚さは出ないよ。
かと思うと、同一人物か?と疑いたくなるようなバラードでのやさしさ。
彼の叙情的な一面はThe Gentle Waltz(「Encore at The Blue Note」に収録)などの彼の作曲にも現れてますよね。
#3,4などバラードの名演が多いのもこのCDのうれしいところ。
あーあ。
こんなパワフルな音楽を創造するピアノの神様も、本当に神様のもとに言ってしまったのですね・・・。

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