麻薬(長文)



今日の日記は相当長いよ。
興味のない人は相当つまんないし。
よろしく。
  ++++++
おれはとうとう禁断の果実を口にしてしまった。
一度でもその味を知ってしまったら抜け出すことのできない甘美で、危険な、美しい罠。
まさに麻薬。
時間も金も家族も、今まで築き上げてきたすべてをなげうってしまいそうになる、「それ」。
わかっていたからずっと見ないふりをしていたんだな・・・・。
薬物?ソープ?衆道?
ちがうちがう。
木製リコーダーなんだなー。
おれ、プロリコーディストを名乗ってるけど、あえて木製には手を出してなかったんだよ。
ヘタに手を出したら破産&サックスを質屋に持っていく可能性が高いとわかっていたから。
いつも楽器屋のショーケースに張り付いちゃため息混じりに眺めてるんだよ。
うつくしいな~って。
そんでな、昨日は銀座の山野楽器でな、見てたんすよ。
そしたらさ、優しい店員さんがやってきて「吹いてみますか?」ときたもんだ。
むっひょっひょ~~~~~!!!
おれ、今日換えのパンツ持ってねえよ~~~~~!!!
うーん。なんて気前がいいんだろ。
木製だからさ、試奏なんて絶対できないものだと思ってた。
しかも!
おれが兼ねてからあこがれている竹山のリコーダーをだよ!!
竹山は日本で最高峰のひとつ。大阪のハンドメイド工房。
http://www.takeyama-recorder.jp/
竹山のをローズウッドとメイプルの2本。
そしてMollenhauer(ドイツ)のDennnerモデルを2本。これは黒檀とボックスウッドかな?
Dennerというのはルネッサンス期の名器のモデル名。
デンナーだよ。電マじゃないよ。
現在でも世界各社でそのモデルのレプリカが生産されてるのだ。
ある意味リコーダーの一つのスタンダードといえるものじゃ。
木製楽器ということもあり、楽器屋のお姉さんは「一本5分ぐらいでお願いしますね」と。
にもかかわらず止められるまでずーっと吹きまくり。もらしっぱなし。
そんな感じでまさに青天の霹靂。
木製リコーダー童貞を捨てる機会が降ってわいた冬の終わり。
   +++++
何がすばらしいって、まず音色。
プラスチックとは雲泥の差だよ。
おれはプラのものでもうつくしい~と思っていたけど、やっぱり全然違う。
音の暖かさが違う。広がりが違う。豊かさが違う。含まれる倍音が違う。
高音の伸びが違う。音が全然やせない。
どんな高音でもキンキンしない。
どんな高音でもビシッ!とあたる。吹き込まなくても発音できる。
   +++++
手触り。振動がちがう。
穴を押さえる指の感覚が違う。
唇に触れる木の感覚が実に暖かく、やさしい。
だって木とプラだもんなあ。そりゃちがうよ。
プラリコーダーなんてやっぱり機械みたいだよな。
そして楽器が振動するんだよね。
指に伝わるバイブレーションの量がプラ製の3倍ぐらいある。
サックスでもギターでもよく、「楽器全体を鳴らせ」なんてことを言われるけど、
このただの木の管がビンビンに振動する。共鳴する。
  +++++
吹き応えが違う。
プラリコーダーって、すこしでもオーバーブローするとあっという間に音は割れるし、音程はあがるし、使い物にならない音になってしまう。
ところが、木製は「うそ?」というぐらい吹き込んでも楽器が耐える。
受け止めてくれるんだよ。
かなりのffな音が出せるのだ。
リコーダーって、その特性上楽器の顔色を伺いながらそーっと吹くんだぜ。
なんて思ってたけど大間違いだった!!
  ++++++
楽器の個性がすばらしい。
まずその素材によってすごい音が違う。
黒檀、ローズウッドなど黒っぽい、重い木になるほど鋭い、とがった音になる。
ボックスウッドみたいに白っぽい、軽い木になると丸くてやわらかーい音になる。
その音の差たるや歴然。まさに黒檀の楽器の音はソロ向けだね。
ジャズとかやるなら間違いなくこっちだね。
マイク乗りもよさそうだし、他の楽器に負けない強さを持つ。気がする。
ドラムにだって負けない感じがしたよ。
この強さは現代の音楽シーンでも十分に使えるパワーがある、と確信しました。
軽い木の楽器のやさしさはクラシック向けだね。
バロックの音楽はぜひこれでやりたい。
もう、とろけそうにやさしくて甘い音がする。まさに木がささやくような音だな。
これでバッハとかアンサンブルでやったらもう最高だろうなー。
竹山のはすごくボディが細い。おれにはすごい吹きやすかったよ。
そしてDennerのものは太い。太い分やはり竹山よりふとい音がするね。
同じメーカーの同じ楽器でもきっとものすごく個性があるそうだ。うんうん。すごいわかる。
ぜったいそうだろうなー。
プラリコーダーと言ったらもう選択肢はほとんどヤマハかアウロスみたいな感じだけど、木製となるとこれで一気に選択肢が100倍ぐらいに広がるのだ。
目がくらむようだよ。
ただ、ひとつ気になったのはピッチの甘い楽器があったことだ。黒檀の楽器はちょっとひどい音程があったな。耳の悪いおれが気がつくんだから結構ヤバイ。
このへん、やっぱしプラの方に軍配が上がるのかもしれない。
  +++++
見た目が美しい。
ほんとにさ、それだけで実に美しい工芸品だ。
黒檀リコーダーのその深いつや消しの黒には吸い込まれそうだ。
美しくニスの乗った竹山のローズウッド、その曲線美は高級輸入家具の持つオーラ、威厳を感じます。
   +++++
はぁ。長くてごめん。
そうなんですよ。とにかく木製、すばらしい。
久しぶりに心が震えました。こうまで違うのか?と。
そしておれ、やっぱしサックスよりこっちのほうが向いてるのかもなー。
おれの人生、やっぱし間違ってたんじゃねえか?なんてちょっと思っちゃった。ははは。
マーク6(サックスのビンテージ。名器の定番)とかも吹いたことあるけどさ、ふーん。いいっすね。ぐらいのもんだよ。
楽器で昨日ほどの衝撃を受けたことはかつてない。
  ++++++
今回初めて木製リコーダーを吹いて、おれはどれだけリコーダーの真実を知らなかったのか?ということに気がつきました。
あれほどリコーダーのすばらしさを語ってたおれだけど、それはプラリコーダーの範囲だったということをほんとに恥ずかしく思います。
これが、ほんとにバッハが愛した、ルネッサンス期の音楽を支えた楽器。リコーダーの真実だったんだ。
プラももちろんすばらしい。
音程が安定してるし、安価で気楽に楽しく、誰でも吹ける楽器だ。
しかし木製との差っていうのは、オナホールと本物のアソコぐらい違う!
と言ったらちょっといいすぎかなあ。
おれ、いつも「木製は高いぜ!おれのサックスと同額で30万だな!」
なんてかなり大げさに言ってたけど、それはかなりウソ。
もちろん最高峰はそのぐらいするけど、おれが今日ほしいなと思ったのは10万ぐらいから。
バイトの初任給の使い道は決まってしまったような気がします。
さあ。今日から楽しく、苦しい、贅沢な時間がやってくる。
どの楽器にしようか・・・・。
さっき書いたけど、とにかく選択肢が広い。めちゃくちゃ広い。
素材、仕上げ、メーカー、モデル、安定感、そして同じモデルでの個体差。
やっぱり長年の憧れ、竹山か・・・・。
大阪に竹山ギャラリーがあるんだよな・・・。見に行きたいな・・・。
最初の一本はやはりソプラノか。
C管とF管は最低一本ずつほしい。基本はアルトなんだろうけど、ソプラニーノはダイスキだからだからはずしたくない・・・・。
んふ。んふふ。んふふふふふふふふ。
  +++++
とにかく、衝撃と感動でふらふらになって楽器屋を後にしたのでした。
あまりの衝撃で誰かに話をしたくてさ、いろんなヤツに電話しまくってしまった。
おかんにまでかけてしまった。
長電話してしまったみなさん。スイマセンでした・・・。
相当興奮してて相当うっとおしかったと思います。ごめんね。
最後に、リコーダーに少し興味を持ったキミにはこれらをおすすめ。
実に良くまとまってます。楽しく読めるよ。
http://www.yamaha.co.jp/edu/instruments/recorder/index.html
http://www2.yamaha.co.jp/u/naruhodo/01recorder/recorder1.html
あと、これはスカパーの番組でThe Makingという番組。
ストリーミングで公開してるんだけど、これのエピソード#102が「リコーダーのできるまで」。
なんと竹山工房の映像がたっぷり楽しめる。おもしろい!
http://sc-smn.jst.go.jp/4/series.asp?i_series_name=THE+MAKING
   ++++++
リコーダーインプロをもっと練習するぞ!
そしてもっとガンガンジャムセッションに行こう。笛もってな!
Moments Noticeぐらい軽く吹けるようになってやる!!
リコーダー曲、リコーダーアレンジを書こう!書きたい!アイデアはいっぱいあんだよ!
ジャコパスは、
「この出来損ないと思われてる楽器をおれが日の目を見せてやるぜ。」
といってエレキベースのイノベーターとなりました。
おれさまがリコーダー界ののジャコパスとなってやる。
この出来損ないと思われてる楽器をおれが日の目を見せてやるぜ。

aaa 2 thoughts on “麻薬(長文)

  1. SECRET: 0
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    ロスのやすえです。地球の何処にいても変わらないラヴ音楽の健介くん素敵です。  
    今日本にいます。会えたら嬉しいなぁ

  2. SECRET: 0
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    おおお~!ヤスエさん!
    ごぶさたしております!
    日本にいるんすか?
    なんとかお会いしたいです!
    一回メールくださいませ!
    kensuke@blackfishmusic.com
    話したいことがいっぱいあるよ~。

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